ひょっとして、もういなくなってしまってたらどうしよう。
心配になって、今日は朝から桑の木のカイコ探し。
だって、何の奇跡か、
「お蚕さん」が、この寒くて長い冬を野生の中で生き延びてきて、
しかも、一度切り倒されたウチの桑の木を選んで卵を産み付けて、
それが、今になって無事孵化したのだから。
昨日のうちに保護しなかったのが災いして、
もし枝から落ちてそのまま死んでしまってたり、
あるいは目ざとい鳥に食べられて、もう何処にもいなかったらどうしよう。
しかし、まったくその心配には及ばず、
「お蚕さん」は、元気にモゾモゾと動いておりました。
桑の木のあちらからこちらから、ためつすがめつ、
小さいのから大きいのまで、全部でだいたい8匹ぐらいは見つけました。
そうして優しく捕獲して、
底の浅い菓子箱に桑の葉と一緒に入れました。
「フタをしなくても、もし餌がなくなっても、
家畜化されて闘争本能が退化しているから逃げません。」
とか書かれているのを、どこかで見かけたのですが、
いやいや、とんでもない。
ウチの「お蚕さん」は、ただおとなしく葉を食べてたりしません。
厳しい自然の中で生き延びてきて、野性を取り戻したのでしょうか。
まぁ、とにかく元気に動き回る。
隙間があればどこからでも抜け出します。
そこに壁があれば、ゆっくりとどこまでも登っていきます。
これはいったいどうしたものかと悩みましたが、
虫かごのようなものもウチにはないし、
とりあえず、干し網の中に菓子箱を入れて吊るしておくことにしました。
で、時々様子を見に行っては、
その都度優しく捕まえて、元の葉っぱのところに戻したり。
そのうち、何だか、
口から糸を吐き出し始めたヤツがいるのに気づきました。
おぉ、そりゃいったいどうすりゃいいんだ。
慌てて「カイコの飼育方法」について、ネットで検索。
「お蚕さん」の生態を、かいつまんで速習。
カイコは卵から孵化して1齢で2,3mm、
それから4回も脱皮して5齢、
5齢になってからの1周間で、約65~85mmにまで急成長するそうです。
そして、5齢の幼虫は、約7日経つと全く食事を取らなくなり、
いよいよ繭を作る準備に入ります。
この状態が「熟蚕(じゅくさん)」。
「熟蚕になる前のカイコは、頭を上げて左右に振るしぐさをしたり、
糸を吐くようになって、よく歩き回るようになる。」
おぉ、それそれ。
もうその状態の5齢のカイコが4,5匹はいるようです。
じゃ、早く繭作りのための準備をしてあげなくっちゃ。
ということで、「蔟(まぶし)」。
まぶしとは繭を作るための部屋のことで、
熟蚕をここに入れると、安心して繭を作り始めるのだそうです。
ダンボールで、深さ4cm、縦横4cm☓5cmの集合住宅を突貫で製作。
糸を吐き始めてから2~3日で繭を作り、
3~5日で蛹に。
そして、約2週間で蛾になるのだそうです。
あの、萌えモフモフのカイコガに。
糸を吐き始めたヤツをちょっとお部屋に入れてみました。
でも、これが全然じっとしていやしません。
少し時間が経ってから見に行くと、
もう全員が部屋から出て、あちらこちら歩き回っておりました。
繭を作るにはもう少し時間があるのでしょう。
夜は寒いので、トマト温室の中に吊るしておくことにしました。
特にフタはしていないので、
さて、明日の朝には果たしてどうなっていることやら。
今日は、朝からいい具合の曇天だったし、
畑の続きをあれこれしようと思っていたのに、
結局、「お蚕さん」に振り回された一日になってしまいました。
この分じゃたぶん、
繭を作って、サナギが蛾になるまで、
ずっと「お蚕さん」に振り回される日々が続くんだろうな。
と、慣れない養蚕農家の一日でした。