しばらくしまったままにしていた三味線。
久し振りに取り出してみると、裏の皮が湿気で剥がれていました。
そしてよく見ると、胴の接合部も危険な状態。
三味線は餅粉を練った糊で貼り付けるので湿気や熱にはすこぶる弱い。
これは修理に出せば、ちょっと費用がかかります。
何なら木工ボンドでつかないこともないけど、やっぱ楽器だからなぁ。
表の革は大丈夫なんだが、
胴付けをしないといけないから、結局両面の張替えになってしまう。
どうしようか、と散々考えたけれど、
このままストーブの薪にしてしまうのもあまりに忍びないので、
やっぱり修理に出すことにしました。
それがようやく、今日戻ってきた。
ぎりぎり年内に間に合いました。
キレイになって年越しが迎えられるのが、何だかうれしい。
三味線は、ばらばらにできるところがすごい。
棹をつないで、胴に通して組み立てて、糸を張ったら出来上がり。
皮には小さなお乳の跡が四つあるでしょ。
小さな声で言いますが、表は猫です。
津軽三味線みたいにバチバチ叩く太棹は強い犬皮が必要ですが、
ウチのはチントンシャンの細棹。
犬よりも猫の方が、繊細で柔らかい音が出るのです。
沖縄の三線はニシキヘビの皮。
乾いたパンパンした音が南国には似合いますが、
三味線、特に細棹はしっとりとした音色。
それに、低音がビェンビェンと鳴るサワリがあるのが、
三味線の大きな特徴です。
冬の間は、寒くて思うように大工仕事もできないので、
草刈りや薪割りの合間に、
三味線を抱えてコタツにでもはまりながら 、
「うめぇは、咲いぃたぁか、さくぅーらぁは、まだかいーな」
って調子でやり過ごすのが、
この波乱万丈の終末世界にはすごくお似合いじゃないか、と。