ウシとかヤギとかヒツジとかシカなんかは、反芻動物だと言われます。
反芻って、一度食べたものをまた胃から戻して、
いつもクチャクチャやっているので、
それは、リスがほっぺたにエサをたくさん貯めて、
後でゆっくり食べる、みたいなものなんだろうと思っていました。
しかし、本当はどちらもちょっと違うみたいですね。
まず、リスはいつエサにありつけるかわからないので、
見つけた時にはとにかくたくさん確保しておく必要があります。
したがって、エサを見つけた時には、持てるだけ持つ代わりに、
ほほ袋に詰め込めるだけ詰め込むということのようです。
そうして家に戻ったら、木の隙間や地面の中などに隠すんですね。
しかし、そうやってても、
自分で隠したところの6割は忘れてしまうというからご愛嬌です。
それで、オニグルミなんかは、
そうやってリスに遠くに運ばれて、隠し忘れたところから芽を出す、
ということを、あらかじめ想定した種の形になっている、
というんだから、自然は深い。
で、反芻なんですが、
あれは、食べる時に思いっきり食いだめをしておいて、
後で食べたくなったら、ちょっとずつ胃から出して楽しんでいるんだろう、
いいね、
とか思っていたら、どうもそれは違うようです。
ヤギは、草を食べるから草が栄養になるんだろうと思っていたら、
違うんですね。
草を食べて、胃の中で微生物を増殖させて、その生成物を栄養にしている、
というのが本当のところです。
つまり、微生物が繁殖しやすい草などを胃に取り込んで、
その中で微生物がよく活動できる環境を変わりなく維持すること。
それが、ヤギの「草を食べる」ってことだったんですね。
いったん胃の中に入った食べ物でも、
固いものは丸い塊になってもう一度口へ戻ります。
唾液の中には、共生微生物の成育を促進する成分が含まれているので、
再びよく咀嚼して、唾液と混ぜ、繊維質を細かく砕いてから胃に戻します。
そうすると、
胃の中に共生する微生物(細菌と原生動物、それに菌類)が、
喜んで草を分解・吸収してくれる、という仕組みです。
つまり、
ヤギは、厳密には草食動物ではなく微生物食動物である。
うーん、
草だけで生きられるというのもすごいなぁと思っていましたが、
クチャクチャ反芻しながら、実は結構すごいことをやってるんですね。
何だか自然を片っ端から食い荒らす割には、
自分の糞すら自然に返せない人間の方が、
ずい分と低級な生き物なんじゃないか、という気がしてきました。