先週の金曜日の午前中、ストーブにあたりながらお客さんと話しをしていたら、
急に腰の後ろが怠い感じになってきた。
腰痛のような、腹痛のような、ちょうど背中の左後ろ、腎臓のあたり。
最初は何かなぁと思いながら、なにげに話しの相槌を打っていたのだけれど、
どうも腰のあたりがやるせなくなってきて、
しばらく、背を伸ばしたり、座り直しをしたりしていたのだけれど、
次第に額から冷や汗のようなものが出始めた。
あれれと思って、
立ち上がってみたり、座る場所を変えてみたりするのだけれど、
どうにも収まらない。
そのうち、身体が熱いのか寒いのかもわからなくなって、
冷や汗とも脂汗ともつかない水分が体中から溢れ出てきた。
そのうち、いよいよ立っても座ってもいられなくなって、
横になるのだけれど、横になっても腰が伸ばせないほどやるせなくなって、
ついに息をするのにも、うーん、うーんと唸りだす始末。
これ、ちょっとやばいかも。
病院なんて、歯医者以外はもう何十年も行った記憶がないけれど、
こりゃ、さすがに病院で診てもらってもいいかも、と気持ちが揺らぎ始めた。
その頃には、もうバスタオルが手放せない状態で、
止むなく知人にお願いして、車で県立中央病院の救急外来に運んでもらった。
病院に着くと、
何やかやの問答の末に、ストレッチャーに乗せられて診察室に直行。
当直の医師の指示のもと、
たくさんの看護婦や研修生に身ぐるみ剥がされて、
注射針を刺されたり、酸素吸入器を当てられたり、点滴を据えられたり、
しきりに腹部を探られるのだが、腹筋が痛みを怺えるのに硬直したまま。
「何だろう。わかんねぇなぁ。」
で、「とりあえずCT!」
当直医が苦しむ私に尋ねるのです。
「CTを撮ろうと思うのですが、いいですか?」
いいですかって聞かれても、やらなくちゃわからないんだろうに。
「被曝するからヤダ!」って言いたいところだけれど、
うーん、うーん、の続きで、「うん」。
そうしたら、ジワーっと身体が暖かくなる造影剤を注射されて、
生まれて初めてのCT。
そのうち、痛み止めもやや効いてきたのかもしれない。
CTが終わったら、酸素吸入器もはずされ、
夢うつつの中、しばらくベッドに放置されていたように思います。
そうして、痛みが少し和らいできたら、
今度は汗が冷えて寒くなってきた。
患者用の寝間着を借りて、タオルを重ねてもらって、
そのまましばらくうとうとしていた。
と、「石がみつかりました!」
と当直医が明るい声で話しかけてきた。
CTの映像で、腎臓に結石が見つかったそうである。
当直医としては、「これで全て解決!」といった口調。
「月曜日に専門医の予約を入れておきます。
今日はこれでお帰りいただきますが、いいでしょうか。」
えっ、この状態で帰れと。
いいでしょうかと言われたって、
そんな「よろしかったでしょうか」みたいな言い方をされても困る。
ヤダというのも大人げないし、
まだ痛みのダメージのイメージでただただぼーっとしているから、
やっぱり、うーん、うーん、の続きで、「うん」。
病院の館内放送は、これから始まる避難訓練を慌ただしく告げていた。
何も、こんな時に避難訓練をしなくても、と思うのは私の勝手です。
3年目の3.11を控えて、あらかじめ予定されていた防災訓練なのでしょう。
そんなこんなで、
救急患者だったからといって、帰る時は実にあっさりとしたものでした。
準備ができたら、自分で書類を持って、受付に行って、
精算して、薬をもらって、気をつけて帰ってください。お大事にね、バイバイ。
ってな感じ。
締めて、17,940円。チーン。
紹介がなくて来た救急外来は、余分に3,150円取られることになっているようです。
うーん、紹介だけで救急患者に差をつけるシステムって何なんだ。
どうせCT撮るんでしょ。
結局、その夜にもう一度激しい痛みに襲われそうになって、
もらっていた痛み止めの坐薬を慌てて入れて、事なきを得ました。
このボルタレンという坐薬、胃には悪いが相当ポピュラーな薬らしくて、
いろんな知人から、「余ってるからあげようか」との申し出を受けた。
それでもおかげさまで、
それ以降は痛みに襲われることもなく無事に週末を過ごしました。
そうして、月曜日にもう一度泌尿器科の担当医の診断を受けたのでした。
再度のレントゲンの結果、なんと結石はいつの間にか消えていました。
金曜日のCTでは尿道もだいぶ腫れていたのだそうだが、
その腫れもすっかり引いていて、もう大丈夫。
結石も仁丹より少し大きい程度のものだったようで、
薬で消えたのか、オシッコと一緒に出たのか。
ま、とにかく、モノがなくなれば何も問題がないというのが腎臓結石のようです。
余りにもあっけない結石騒ぎで、お粗末さまでした。
しかし私の場合、食生活に特に問題があるとはどうしても思えないので、
「何で石ができるんですか?」ってお医者さんに聞いたのです。
それは単純なこと。
「コーヒーにお砂糖を入れても、うまく混ざらなきゃ底に残るでしょ。
あれと一緒です。
カルシウムやシュウ酸、尿酸は誰でも腎臓にたまるのだけれど、
普通はオシッコと一緒に出ていってしまうんですよね。」
つまり、日頃から水分をちゃんと取っていればめったに問題は起こらないのだそうです。
そうか、食生活じゃなくて、水分摂取の問題なんだ。
私の場合、夏でもさほど水分を取らなくても大丈夫だったのです。
私の身体は、そんなに水分を必要としていない、とずっと思っていたのです。
ずいぶんと省エネで高機能な身体なんだなぁ、とずっと勘違いしていたんですね。
馬鹿でした。
普段、何事も反省することがない私ですが、
これはさすがに反省して、それ以来せっせとお茶を飲むようにしています。
初めて経験しましたが、
結石の痛みは、まったく何とも例えようがありません。
ただうんうん苦しむだけです。
しかし、
「自分は今、乾いてるのか。身体は水分を欲してるのか。」
まったく、自分の感覚なんてほんとに当てにならないものですね。
「ま、お茶でも一杯。」と言われたら、
飲みたくなくったって、「へい、いただきます。」と言うもんですよ、アナタ。