11月は初霜、初氷。
最初は驚いていた事が、それもいつしかよくある事になって、
やがてストーブに火をつけない日はなくなって、
せっせとストックしていた薪が、毎日飛ぶように減っていく。
それもいつもの冬の風景。
ある日、スーパーの駐車場に車を止めてお店の中を眺めていると、
せわしそうに往来するたくさんの買い物客。
田舎のスーパーはふだん閑散としているけれど、夕暮れ時ならレジに人が並ぶ。
お年寄りは少しの荷物も重たそう。
若い主婦らしき女性は、眉間にしわを寄せながら、今晩のおかずを物色。
子どものお菓子を買って、ビールのつまみを買って、
今日は砂糖が安いから、少し買いだめをして。
それもあれもどれもこれも、
みんな数字と記号にしてキーを打ち込むパートのレジ係の女の子。
でも、みんなちっとも楽しそう顔をしてないなぁ、と思う。
ジャンクな食品を袋いっぱい詰めて、
両手に重たい荷物を下げて、足早に車のトランクまで運んでいく。
家に帰れば子どもたちがTVを見ていて、
やがて疲れた顔の主人が、仕事から戻ってくるのを待つんだろうか。
それとも、腰の曲がったお年寄りは、
明かりも暖かさもない台所に一人戻って、
なるべく簡単に済ませられる食事の準備を始めるのだろうか。
そうやって、日々死んでいく毎日を繰り返し過ごしながら、
今日も生きている自分の存在意義を、
どうやって人は自分に言い訳すればいいんだろうか。
いやいや、
「生きてるだけでいいんだよ」って、
何度でも言いきかせてほしい。
食って、寝て、
夏はできるだけ涼しいところに身を置いて。
食って、寝て、
冬はできるだけ温かいところに身を置いて。
そんな、それだけの暮しに、
しなやかに身を委ねられる、猫のようになりたい。
・・・、ま、猫だって、
それなりに人には言えない悩み事があったり、
心がふるえる夜をひとり寂しく過ごしたりすることも、
たまにはあったりするんだろうけど。
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