桃の花がだいぶふくらんだ。
昨日あたりから、良い日和なのだけれど、外の風が冷たくて、
三寒四温というヤツですね。
何かこう、そうやって揺り戻しをしながら暖かくなるという、
そうしないことには暖かくなれないという、
そんな自然の振る舞いが、ちょっといじらしい感じがします。
そして、もう2,3日もすれば、ひとつ目の花がほころぶでしょう。
今年も桃の果が食べられるといいな、と思います。
ネコも嫌いじゃないけれど、
たまに余り物をあげたり、軒先で雨宿りするぐらいならいいのだけれど、
三度三度エサをやって、世話をするっていうのはちょっとごめんです。
飲める乳が出るわけじゃなし、肉が食べられるわけじゃなし、
たまにネズミを捕るぐらいが関の山で、
自分のエサぐらい自分で何とかしろよ、と思ってしまいます。
その点、ヤギは違う。
乳も出るし、肉も食べられる。
そのくせ、エサ代をかけないでも飼うことができる、というところが何より素晴らしい。
田畑の畦草、河畔草、山の野草や樹葉等、
田舎では邪魔者になるものが全部エサになるんだから、
まさしく共存共栄、家畜としてこんなにいい相棒はいない。
ヤギは、柔らかい牧草よりも硬くて繊維の多い雑草を好むんだそうです。
どこでも繁茂してたいへんな、クズやススキ、ギシギシ、野イバラ等をよく食べ、
せん定枝なんかも、小指ほどの太さなら食べちゃう、と。
しかも、45度の急傾斜地でも何のその、1m以上の草丈でもおかまいなし。
機械も人も入りにくい、山林での傾斜地放牧も、ヤギなら可能です。
おー、まさに生きた草刈り機。
それから、ヤギ乳。
ヤギ乳は牛乳と違い、原乳でもお腹をこわさないで飲める。
牛乳より栄養価も高く、アレルゲンを含まないからアトピーでも大丈夫。
そして、高品質のチーズ、ヨーグルトができる。
ヤギ肉。
ネパールや中東では、豚や水牛よりも高い高級肉です。
体が温まり、体力増強にもよいということで、
奄美、沖縄地方では、薬用としても食べられている。
ほらね、やっぱり、ヤギがいい。
日本では、戦時中の食糧事情の悪化から、
貴重なタンパク源としての、乳用ヤギの飼育が全国に広まったようです。
そもそもヤギ飼育は、飼料も生産物も自家消費に適しており、自給的な性格が強い。
しかし戦後は、国によって牛、豚、鶏の多頭飼育が奨励されたために、
ヤギの飼育が激減してしまいました。
畜産も農業も、個人経営を駆逐するのが、どうも国の政策のようです。
でも、企業が集約して大規模経営にしたところで、
何にもいいことはない。
家畜にとっても、
劣悪な環境で訳の分からない配合飼料や薬剤を投与されるだけ。
そのあげくに、インフルエンザとかで大量に殺処分される。
消費者にとっても、
そんな畜産工場で生産された、工業製品のような乳や肉を、
ただ購買して消費するだけしか、選択肢がなくなってしまいました。
結局、何にもいいことはない。
やっぱり、今からでも遅くはないから、
自分たちのできる範囲で、
自給農と自家飼育で、
「食」を自分たちの手に取り戻すこと。
それが生きる基本ではないかと。